
社会保険労務士
梅川 貴弘
うつ病などの精神疾患を抱えて、働きたくても働けずに困っている人たちに向けて障害年金の請求代行サポートを開始。
現在は、社会保険労務士6名、日本年金機構勤務経験者4名の専門チームで、全国のうつ病等で悩む方々の障害年金請求手続きを支援している。
[うつ病などの障害年金請求代行]
うつ病や発達障害などの精神疾患では、障害年金の永久認定を受けるのは難しく、現実的には有期認定での受給が一般的です。
この記事では、永久認定と有期認定の違い、永久認定になる可能性、更新のポイントなどをわかりやすく解説します。
目次
障害年金には「永久認定」と「有期認定」という2種類の制度があります。
・永久認定とは?
その後の更新手続きが不要で、生涯にわたって障害年金を受け取ることができる認定方法です。症状が固定し、今後も変化がないと判断された場合に認定されます。
・有期認定とは?
定められた期間ごとに更新が必要な認定方法です。多くの場合がこの有期認定となり、障害の状態が変化すると、障害等級が見直されます。有期認定の期間は、通常1~5年の間で、障害の状態などに応じて個別に判断されます。
永久認定が適用されるのは、症状の変動がなく、医学的に今後の回復が見込めないと判断されるケースに限られます。
たとえば、手足の切断、完全失明、人工関節の置換といった身体障害が該当します。これらは障害の程度が明確で、かつ永続的であることから、状態が固定されたと見なされやすく、初回の認定時点で永久認定となることが多いです。
一方で、精神障害や内部障害のように、症状が一定でない場合や将来的に改善の可能性があるとされる障害では、永久認定は原則として行われません。
社会保険労務士
梅川 貴弘
永久認定には、以下のように実用的なメリットが多くあります。
永久認定の最大のメリットは、更新手続きが不要になることです。有期認定では数年ごとに診断書を提出し、再審査を受ける必要がありますが、永久認定を受けるとそれらが不要になります。このことで、精神的・経済的な負担が大幅に軽減されます。
特にうつ病などの精神疾患のある方にとっては、定期的な診断書の提出や審査に対するプレッシャーが大きなストレスになります。更新の不安から解放され、安心して生活を送れるというのは、精神面で非常に大きなメリットです。
障害年金が安定した収入源になることで生活設計がしやすくなり、経済的な不安が減る分、治療やリハビリに集中できる環境が整います。結果的に、生活の質の向上にもつながります。
症状が悪化した場合には、「額改定請求」によって等級の見直しを求めることも可能です。
これは永久認定でも変わらず利用できる制度であり、万一のときにも柔軟に対応できます。
ただし、額改定請求によって「3級から2級」あるいは「2級から1級」と等級が上がったとしても、永久認定から「有期認定」に変わることもあります。したがって、永久認定を受けている方が額改定請求をする際は、障害の状況に応じて慎重な判断が必要です。
65歳を迎えた際には、「老齢年金」と「障害年金」のどちらか金額の高い方を選択して受給することができます。障害年金の方が受給額が高いケースも多く、永久認定であればそのまま更新の必要なく受給を継続できます。
障害年金と老齢年金のどちらが有利かは、保険料の納付状況や加入期間によって異なるため、年金事務所での確認をおすすめします。いずれにせよ、永久認定であれば高齢になっても支給が打ち切られることなく、安定的に障害年金を受け取れる点は大きな安心材料といえるでしょう。
うつ病をはじめとする精神疾患の場合、障害年金の認定では「有期認定」となるのが一般的です。その理由を説明する前に、まず「障害認定基準」を確認しておきましょう。
障害年金の審査は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて行われ、これには、障害の状態がどの程度ならば、何級に該当するかが定められています。
うつ病を含む気分(感情)障害においては、以下のように記載されています。
1級:気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級:気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級:気分(感情)障害によるものにあっては、気分・意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの
うつ病などの精神疾患は、障害の程度を検査数値で表すことが難しいため、日常生活や就労にどれくらいの制限があるかが、等級を決定する際の重要な要素になります。
うつ病、双極性障害、統合失調症といった精神疾患や、高次脳機能障害などは、症状の変動が大きく、治療の経過や生活環境によって状態が変化しやすい傾向があります。たとえ現在の状態が重度であっても、今後の治療によって改善する可能性があると見なされるため、「症状が固定している」とは判断されにくいのです。
また、発達障害(ADHD、ASDなど)や軽度の知的障害といった先天性の疾患においても、原則として有期認定となります。
発達障害や知的障害は、完全に治癒することはありませんが、薬物療法や環境の改善などによって症状が変動する可能性があります。そのため、症状が固定しているとは認められず、永久認定ではなく、有期認定が適用されることがほとんどです。
したがって、うつ病や発達障害などの精神疾患のある方が永久認定を目指すのは現実的には難しく、有期認定で地道に更新を重ねていくことが一般的な選択肢となります。
有期認定では、更新のたびに等級が見直されたり、場合によっては支給が止まったりすることもあるため、不安を感じる方は少なくありません。
そのため、少しでも安心したいという思いから永久認定を望む気持ちはよく分かります。ただ、精神疾患では多くのケースで有期認定が適用されるのが現状です。
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梅川 貴弘
うつ病や発達障害といった精神疾患の場合、初回から永久認定を受けることはほとんどありませんが、将来的に永久認定へ移行するケースは存在します。
例えば、何度も更新を重ねる中で、長期間にわたり症状が改善されず、かつ今後も回復の見込みがないと判断された場合、更新の審査で永久認定へ切り替わることがあります。特に、高齢であったり、長い期間等級に変化がなかったりした場合に、永久認定になることがあります。
ただし、その判断はあくまでも日本年金機構側の裁量によるものであり、申請(請求)する側が任意に永久認定を選択できるものではありません。そのため、有期認定を着実に更新していけるよう、適切な手続きを行うことが現実的と言えるでしょう。
有期認定で障害年金を受給している場合、最も重要なのが「更新」の手続きです。
更新は原則として日本年金機構からの通知に従い、指定された時期に診断書など必要書類を提出することで行われます。この更新の審査で障害年金の受給が継続されるかどうかが決まり、場合によっては等級が下がったり、支給停止になったりする可能性もあるため、慎重に準備する必要があります。
まず、書類の提出期限を確認しましょう。更新時期が近づくと「障害状態確認届(診断書)」が送られてきますが、これには提出期限が明記されています。遅れると年金が止まることもあるため、余裕を持って医師に診断書の作成を依頼しましょう。
もしも提出が遅れた場合は、年金が一時的に差し止めになります。
ただし、その後提出して認められれば、差し止められていた分も含めて支給が再開されます。焦らず冷静に手続きを進めましょう。また、出来上がった診断書の内容は必ず目を通し、次回の更新に備えてコピーを取って大切に保管しておくことをおすすめします。
社会保険労務士
梅川 貴弘
更新で最も大切なのは、診断書の内容です。
うつ病や発達障害では、日常生活にどのような支障が出ているか、どの程度のサポートが必要かといった具体的な記述が審査のポイントとなります。診断書を作成する医師には、自分の現状を正確に伝え、適切な記載をしてもらうことが不可欠です。
とりわけ、前回診断書を提出した時と主治医が変わっていたり、就労を始めたりなど、状況が異なる場合は、特に注意しましょう。
障害年金における永久認定と有期認定は、それぞれに特徴がありますが、うつ病や発達障害といった精神の障害においては、有期認定が基本となります。精神疾患は症状の変動が大きいと判断されるため、永久認定は難しいのが現実です。
重要なのは、最初から永久認定を目指すのではなく、適切に更新手続きを行い、受給を継続していくことです。
更新時には診断書の記載内容が重要な判断材料となります。主治医に現状を具体的に伝え、正確な診断書を作成してもらいましょう。手続きやスケジュールにも注意しながら、落ち着いて対応することが、継続的な受給と心の安心につながります。
当事務所では、障害年金の請求サポートを受けたお客様に対して、無料で「更新サポート」を提供しています。更新時の診断書の内容をチェックし、適切なアドバイスを行うことで、お客様が安心して手続きを進められるようお手伝いしています。障害年金の請求をお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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梅川 貴弘
可能性はゼロではありませんが、非常にまれです。精神疾患は症状が変動する場合があるため、永久認定は認められにくく、基本的には有期認定が適用されます。ただし、高齢で長期間同一等級を維持している場合など、例外的に永久認定されるケースもあります。
日本年金機構のデータによると、初回認定時に永久認定に該当する受給者の割合は全体のわずか8.4%にとどまります。つまり、9割以上の人が有期認定となり、定期的な更新手続きが必要な状況にあるということです。(参考:障害年金業務統計(令和5年度決定分))
永久認定そのものに特別な申請手続きはありません。障害年金申請時や更新の際に、日本年金機構が「症状が固定している」と判断した場合に適用されます。つまり、自分で永久認定を選ぶことはできません。
障害年金の永久認定は、受給者の希望によって選べるものではありません。状態が長期間にわたり変化せず、将来的にも改善の見込みがないと審査機関が判断した場合に限って適用されます。大切なのは、診断書に実際の状態が正確に反映されるよう、医師としっかり連携することです。
年金証書や更新結果の書類に記載されている「次回の診断書提出年月」を確認しましょう。この欄に日付の記載がなく「***」が表示されている場合は、永久認定となります。不明な場合は、年金事務所に問い合わせてみましょう。
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