ご依頼の経緯
S様(20代・女性)は幼少期より衝動性や多動、不注意の傾向が強くみられました。大学に進学後も、金銭管理の甘さや衝動的な行動からトラブルを繰り返し中退。その後仕事に就くも、人間関係や勤務態度の問題から長続きせず、失職を繰り返していました。そうした状況を見かねたご両親が医療機関の受診を強く勧め、ようやく発達障害(ADHD)、双極性障害と診断されました。
障害年金の申請(請求)を検討するにあたり、S様の父親が主治医に相談したところ、当初は協力的な反応を示されていたのですが、いざ診断書の作成を依頼したところ、「社会復帰の妨げになる」という理由で拒否されてしまいます。思いがけない返事をされてしまったS様は、主治医を信頼できなくなり、通院の意欲まで失ってしまいました。既に準備に取りかかっていたこともあり、S様の父親は大きな不安と混乱を抱え、当事務所にご相談いただきました。
担当社労士のコメント
今回のケースでは、主治医に診断書作成を断られるという非常に大きなハードルがありました。S様は、もともと医師との関係があまり良好ではなく、このような状況で医師に診断書を依頼しても、正確に実態を反映した内容にならない可能性が高く、かえって不利になるリスクがあります。
そこで、焦って無理に診断書を得ようとするのではなく、まずは「信頼関係を築ける医師」を見つけることを最優先に考えました。
S様とご家族には、転院もひとつの選択肢であることをご説明しました。早く障害年金を受給したいというお気持ちは自然なものですが、それよりも「しっかりと病状を理解してもらい、長期にわたって通院を継続できる医療機関であるか」が重要です。転院後すぐに診断書を依頼するのではなく、数ヶ月かけて医師との信頼関係を構築していただき、その上で改めて診断書の作成をお願いする方針をご提案しました。
結果的に、S様は転院先の医師との相性が良く、通院に対する姿勢も前向きになりました。医師もご本人の状況をしっかりと理解したうえで、的確な内容の診断書を作成してくださり、障害基礎年金2級の受給が決定しました。
お客様からのメッセージ
「主治医に診断書の作成を断られたときは、本当にもうダメかもしれないと思いました。しかし、転院という選択肢を提案していただいたり、その都度的確なアドバイスをいただいて、安心して手続きを進めることができました。結果的に障害年金をもらうことができ、今では障害者雇用枠での就労も検討できるまでになりました。心から感謝しています。」
※プライバシー保護のため、一部内容を変更・加工して掲載しています。