ご依頼の経緯
M様(50代・男性)は30代の頃に一度メンタル不調を感じ、自身が発達障害ではないかと疑い、医療機関を受診しました。診断の結果、発達障害ではないとされ、通院もすぐにやめ、その後は特に支障もなく、15年以上働き続けていました。しかし、50代になってから職場でのトラブルをきっかけに強い不眠症状が出始め、再び受診。その後、幻聴や被害妄想などの症状も現れ、最終的に統合失調症と診断されました。
体調の悪化により勤務先を解雇され、頼れる家族もいない状況で、一人暮らしを余儀なくされました。対人恐怖も強く、福祉サービスを利用することもできず、生活が次第に立ち行かなくなっていきました。障害年金制度について知ったものの、誰に相談すれば良いかも分からない中で、インターネットを通じて当事務所を見つけ、「面談不要」であることに安心してお問い合わせいただきました。
担当社労士のコメント
今回最も重要だったポイントは、「社会的治癒が認められるかどうか」という点でした。M様は30代の頃に数回受診歴があったものの、その後は約15年以上にわたり体調が安定しており、日常生活にも大きな支障はありませんでした。
「社会的治癒」とは、かつて病気を発症していた場合でも、その後長期にわたり症状が落ち着き、医療機関を受診せず、社会生活に問題なく適応できていた場合に、「いったん治癒した」とみなされる考え方です。これが認められると、以前の受診歴ではなく、再発した時点を「初診日」として取り扱うことが可能になります。
今回、私たちは社会的治癒が成立すると判断し、2年前の再受診を初診日とすることで、障害厚生年金の対象として申請(請求)を行うことにしました。
次に大切だったのは、「本人の状況を医師に正確に伝えること」です。M様は対人恐怖が強く、直接会話での情報共有が難しい状況にありました。そのため、やり取りは主にメールで行い、M様のペースに合わせてヒアリングを進めました。
M様の生活実態については、一人暮らしである一方、妄想や幻聴による近隣住民とのトラブル、警察沙汰、福祉サービスの利用拒否などがあり、実際には日常生活が成立していない厳しい状態が続いていました。こうした点を丁寧にヒアリングし、その内容を報告書としてまとめ、主治医にお渡しした上で診断書を作成していただきました。
見た目では判断しづらい精神疾患の困難さを、書類の中でいかに正確に表現できるかが、障害年金の認定においては極めて重要です。今回のケースでは、医師のご協力もあり、M様の実情を反映した診断書が作成され、申請書類全体に説得力を持たせることができました。
結果として、障害厚生年金2級(年額約120万円)の受給が決定し、経済的にも精神的にも、M様にとって大きな支えとなりました。
お客様からのメッセージ
仕事を失ってからは、どうやって生活していけばいいのか、本当に不安でしたが、受給が認められ、将来に少し希望が持てました。
年金もちろんありがたいですが「ちゃんと認めてもらえた」というのが嬉しいです。相談して、本当によかったです。
※プライバシー保護のため、一部内容を変更・加工して掲載しています。
