ご依頼の経緯
T様(40代・男性)はうつ病を患い、働くことが難しくなったことから障害年金の受給を検討されていました。しかし、ご自身の障害者手帳は3級であったため、国民年金加入者としての基礎年金では「2級以上でないと受給できない」と知り、不安を感じておられました。また、過去にパニック発作で数回受診した病院が既に閉院しており、病院名も思い出せないという状況で、申請(請求)に必要な情報が揃っていないことも大きな悩みでした。
これまでにインターネットで情報収集は行っていたものの、状況が複雑なため自力での申請は難しいと判断され、専門家への依頼を検討。検索の中で、障害年金に強い社会保険労務士を探し、当事務所にご相談いただきました。ご本人としては、「手帳が3級だとやはり難しいのではないか」「通院歴も証明できない状態では無理かもしれない」と不安を抱えつつも、少しの望みにかけてのご相談でした。
担当社労士のコメント
障害年金の申請では、「障害の程度」と「初診日」が非常に重要な要素です。今回のT様のケースでは、初診が国民年金加入時だったため、年金等級の要件としては“2級以上”でなければ受給はできません。しかし、T様が所持している障害者手帳は3級であったため、「年金ももらえないのではないか」とご本人は不安を抱えておられました。
まず私たちは、障害年金と障害者手帳の等級基準はまったく別物であることをご説明しました。障害年金の等級は日常生活能力や労働能力を重視して決定され、診断書の内容が審査の大きな鍵となります。手帳が3級であっても、実際の生活状況や就労の困難さによっては、障害年金で2級と認定される可能性は十分にあります。
もうひとつの課題は、過去の通院歴がはっきりしないという点でした。T様は30代の頃にパニック発作で数回だけ受診した病院があったものの、その後は8年間ほど医療機関にかからず、通院も途絶えていたとのこと。その間、通常の社会生活を送れていたというお話もありました。
そこで私たちは、「社会的治癒」の概念を援用することで対応することにしました。これは、一度症状が改善し、一定期間にわたり社会生活を送っていた場合、その後の再発時を“新たな初診”とみなす考え方です。これにより、障害認定日や保険種別の要件を再構成できる可能性が広がります。
T様には通院の空白期間について詳しくヒアリングを行い、当時の就労状況や生活ぶりについても具体的に確認しました。その結果、医療的にも社会的にも「一旦は治癒していた」と判断できる状況が整い、社会的治癒が成立すると考えられました。
診断書の取得に際しても、単に医師に依頼するだけでなく、T様の生活状況を伝える補足資料を作成し、審査に必要な情報がしっかり伝わるよう丁寧にサポートしました。
その結果、障害基礎年金2級と認定され、さらに遡及分として約300万円の受給が決定しました。複雑な背景を持つ案件でしたが、制度を正しく理解し、丁寧に対応することで、受給の可能性を広げられることを実感した事例でした。
お客様からのメッセージ
「自分ではどうしたらいいかまったく分からず、不安ばかりでしたが、みのり社労士事務所さんに『手帳の等級と年金の等級は別の基準』と説明してもらい、可能性があると言っていただけたのが、本当に救いでした。過去の通院歴や空白期間についても、丁寧に話を聞いてくれて、自分の中でも整理ができた気がします。」
※プライバシー保護のため、一部内容を変更・加工して掲載しています。
