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[うつ病などの障害年金請求代行]

障害年金をもらえないのはどんな人?その特徴を受給要件とともに解説

  • 投稿:2024年12月04日
  • 更新:2024年12月12日
障害年金をもらえないのはどんな人?その特徴を受給要件とともに解説

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取ることができる大切な制度ですが、誰もが簡単にもらえるわけではありません。受給にはいくつかの要件を満たす必要があり、その条件を満たしていない場合、障害年金を受け取ることはできません。

この記事では、障害年金をもらえる人ともらえない人の違いについて、具体的に分かりやすくご説明します。

また、障害年金を申請(請求)した結果、不支給になってしまった場合、どうしたらよいのか心配な方も多いと思います。その場合でも、すぐに諦める必要はありません。認められなかった理由をしっかりと把握し、適切な対策を講じることで、支給決定につながる可能性があります。

本記事では、障害年金がもらえない場合の理由や、不支給になった際の対策について詳しく解説します。

障害年金の3つの受給要件

障害年金の受給には、3つの要件を満たしている必要があります。

①初診日の要件

原則として、障害の原因となった病気やケガで初めて病院に行った日(初診日)が年金制度の被保険者期間であること。

②保険料の納付要件

初診日の前日において、年金保険料を一定期間以上納付していること。具体的には、次の①か②のどちらかを満たしている必要があります。

①初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上納付(または免除)していること。
②初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。
※20歳前に初診日がある場合は、納付要件は不要です。

③障害状態の要件

障害年金の基準に定める程度の、障害状態であること。障害年金が支給される障害の状態に応じて、法令により、障害の程度(障害等級1~3級)が定められています。

■1級■(障害基礎年金・障害厚生年金)

他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。

■2級■(障害基礎年金・障害厚生年金)

必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。

■3級■(障害厚生年金)

労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。

障害年金は、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

  • 初診日に加入していた年金制度が国民年金(※)であれば「障害基礎年金」
  • 初診日に加入していた年金制度が厚生年金(※)であれば「障害厚生年金」

を申請することになります。

※国民年金の被保険者とは、20歳以上の無職の方や学生や自営業者(第1号)・扶養されている配偶者(第3号)であり、厚生年金の被保険者とは、会社員や公務員等(第2号)です。

障害年金を受給するためには、障害等級が以下に該当する必要があります。

▶障害基礎年金…1級、2級
▶障害厚生年金…1級、2級、3級

3級があるのは障害厚生年金のみです。障害年金の種類によって対象となる等級範囲が異なりますので、注意しましょう。

障害年金をもらえない人とは?

障害年金をもらえない人とは?

障害年金をもらえない人とは、つまり、上記の受給要件を満たしていない人ということになります。具体的に説明していきます。

①初診日を証明できない

初診日を特定することは、障害年金の申請において非常に重要です。

初診日を証明するためには、初診の医療機関で「受診状況等証明書」という書類を作成してもらう必要があります。しかし、初診の医療機関が閉院していたり、カルテが廃棄されていたりすると、証明書を作成してもらえません。

証明ができない場合は、障害年金受給の可能性は低くなってしまいます。

もしも…

もし初診日の確定が難しい場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

②20歳未満の人

障害基礎年金は、20歳未満の人は受給することができません。

ただし、10代の方で厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金の対象になります。

例えば、高校卒業後など20歳未満の時に働き始めて、厚生年金の加入中に初診日がある場合には、障害厚生年金が支給される可能性があります。

③65歳以上の人

障害年金は、原則、65歳より前(※)に申請しなければなりません。

※正確には、65歳誕生日の前々日まで

ただし、初診日が65歳より前にあり遡及請求を行う場合など、一部例外もあります。

④老齢年金を繰上げ受給している人

老齢年金を繰上げ受給していると、65歳に達したとみなされます。繰上げ請求した日以後は、事後重症などによる障害年金を申請することができません。

⑤保険料の未納が多い

障害年金は、初診日の前日において、年金保険料を一定期間以上納めている(または免除している)必要があります。

年金保険料の未納期間が長く、保険料納付要件を満たしていない場合、障害年金はもらえません。

しかも、この納付要件は「初診日の前日」時点で判断されます。初診日以降に保険料を後払いしても、納付要件を満たすことはできません。

ただし、初診日が20歳前である場合、納付要件は考慮されません。現在把握している初診日で納付要件を満たさない場合は、20歳前に受診したことがあるかどうか、再確認してみましょう。

ちなみに、知的障害の場合は初診日は出生日となり、保険料納付要件は問われません。

うつ病を抱えている方で、知的障害が併存している場合は、知的障害が起因して発症したと考えられますので、初診日は出生日となります。うつ病単独の場合とは、初診日が異なりますので、注意しましょう。

⑥障害の状態が軽い

障害年金は、国の定める一定の障害状態でないと受け取ることはできません。

「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」には、障害の程度に応じてどの等級に該当するかが詳細に定められています。

障害基礎年金は1級か2級、障害厚生年金は1級から3級のいずれかに該当しなければ、障害年金はもらえません。

うつ病、発達障害などの精神障害や、がんなどの内部障害は、障害の程度を検査数値で表すことが難しいことが多く、日常生活や就労にどれくらいの制限があるかが、等級を決定する際の重要な要素になります。

本当は、障害の程度が基準を満たしているのに、自分では把握できていなかったり、医師に症状が正確に伝わっていなかったりすることで、診断書が実際より軽い症状で作成されてしまい、障害等級に該当しないと判断されてしまうこともあります。

主治医には、日頃から自身の日常生活や就労の状況について伝え、症状を正確に診断書に反映してもらうことが大切です。

ご自身が障害等級に該当するかどうかの基準が分からない場合、医師に診断書を依頼することに不安がある場合は、一度、当事務所にお問合せください。

社会保険労務士梅川 貴弘

社会保険労務士
梅川 貴弘

障害認定基準は、日本年金機構のホームページからも確認できます。
※国民年金・厚生年金保険 障害認定基準/日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

⑦初診日から1年6か月経過していない

障害年金は、「障害認定日」における障害の状態が、障害等級に該当しているか判断されます。「障害認定日」とは、原則、初診日から1年6か月を経過した日をいいます。

つまり、初診日から1年6か月を経過していないと、障害年金はもらえません。

ただし例外として、1年6か月よりも前に治った(症状が固定した)場合は、その日が障害認定日となります。

以下のようなケースが例外として認められ、1年6か月を待たずに申請ができます。

  • 人工透析療法を受けている⇒透析開始日から3か月を経過した日
  • 人工弁、心臓ペースメーカー、ICD⇒装着した日
  • CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)⇒装着した日
  • 人工肛門造設、新膀胱造設⇒造設した日
  • 在宅酸素療法⇒開始した日(常時使用の場合)
  • 人工骨頭、人工関節を挿入置換⇒挿入置換した日
  • 手足の切断⇒切断日
  • 脳血管障害による機能障害⇒初診日から6か月を経過した日以後、症状固定と認められた日)

※上記は一例になります。

⑧傷病が対象外である

障害年金はほとんどの病気やけがが対象となります。うつ病や双極性障害などの精神病も含まれますが、なかには対象外の傷病があります。それが、神経症や人格障害です。

一例としては、次のような病名です。

▶神経症

・パニック障害
・適応障害
・不安障害
・強迫神経症

▶人格障害(パーソナリティ障害)

・妄想性人格障害
・衝動型人格障害
・境界型人格障害
・性同一性障害

これらのような神経症や人格障害の単独の病名では、障害年金の対象外となりますが、障害認定基準には以下のように明記されています。

 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。 

なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。

※国民年金・厚生年金保険 障害認定基準/日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

つまり、これらの場合でも、「精神病の病態を示している」場合は障害年金の対象になり得る、とされています。

神経症や人格障害と診断されている方は、医師にうつ病などの精神障害を併発していないか確認しましょう。もし併発している場合は、それを診断書に反映してもらうことで、障害年金を受給できる可能性があります。

精神的な疾患については医師の変更や病状の変化によって診断名が変更になることが、よくあります。

以前の病名から変わっている可能性もありますので、医師に障害年金の申請を考えていることを伝え、改めて確認してみましょう。

社会保険労務士梅川 貴弘

社会保険労務士
梅川 貴弘

不支給になってしまったとき

不支給になってしまったとき

障害年金を申請した結果が不支給となった場合でも、すぐに諦める必要はありません。

不支給の決定には様々な理由があるため、その理由をきちんと理解し、適切な対策を取ることが重要です。

不支給の理由を確認する

最初に、障害年金が不支給(却下)となった理由を確認しましょう。日本年金機構から送付される「不支給(却下)決定通知書」には、なぜ不支給となったのかが記載されています。

主な理由としては、以下の3つが挙げられます。

①初診日を特定できない
②保険料納付要件を満たしていない
③障害の程度が軽い

これらの理由を理解し、どの部分が問題だったのかを特定することが、今後の対応に繋がります。もし、支給決定に変わる可能性がある場合は、「不服申立て」や「再申請(再請求)」を検討しましょう。

不服申立て

障害年金を申請した結果が不支給だったり、決定した等級に納得がいかなかったりするときは「不服申立て(審査請求・再審査請求)」という方法があります。

ただし、一度決定された結果をくつがえすためには、審査をする側が納得できるような客観的な証拠や資料を提出することが求められます。

どの点を立証すれば不服が認められるのかを明確にし、適切な書類を整えて進めていくことが重要です。また、手続きには時間的な制約もありますので、速やかに対応する必要があります。

再申請(再請求)

障害年金は、不支給になっても「再申請」をすることが可能です。その場合は、診断書などの申請書類を一から取得しなおし、改めて申請の手続きを行います。

ただ同じように再申請してもまた不支給となってしまう可能性が高いため、不支給の理由を確認し、その理由に基づいて適切な対策を取ることが必要です。

障害年金が不支給だったとしても、不服申立てや再申請をすることで、支給決定につながる可能性があります。しかし、どちらにしても支給が認められることは容易ではなく、一回目の手続きよりも入念な準備が必要になります。

もし審査結果に納得できない場合は、専門家である社労士に相談されることをおすすめします。

再申請(再請求)

障害年金をもらえないのはどんな人?その特徴を受給要件とともに解説:まとめ

障害年金が受給できるかどうかは、申請者一人一人のケースによって異なります。

例えば、初診日の証明ができない、保険料納付要件を満たしていない、障害の程度が基準を満たしていないなど、個別の事情が影響します。

さらに、障害年金の制度は複雑で受給要件には例外もあるため、判断が難しい場合もあります。

また、医師に正確に症状が伝わっていないことが原因で、本当は受給できるはずの障害年金がもらえないケースもあります。

初回の申請で不支給になると、その後挽回することはとても難しくなります。障害年金を受給するためには、最初から慎重に準備をして臨むことが大切です。

障害年金の受給について不安がある場合や、申請手続きに迷った際は、社労士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

障害年金をもらえない人についてのよくある質問

障害年金をもらえない人についてのよくある質問
Q 働いていると、障害年金はもらえませんか?

障害年金は、働いていても受給することができます。ただし、特にうつ病などの精神疾患の場合は、就労状況が審査の重要なポイントとなります。そのため、働いている場合は、職場での支援内容や勤務状況を示す資料を用意するなど、申請書類に工夫が必要です。障害者雇用の場合は、審査で考慮されますので、申請書類に必ず記載しましょう。

Q 所得が多いと、障害年金はもらえませんか?

障害年金は、基本、所得制限はありません。ただし、20歳前傷病による障害基礎年金(20歳前に初診日がある場合)は、年収が一定の金額を超えると減額や支給停止になります。

Q 退職後、失業保険をもらったら、障害年金はもらえませんか?

失業保険(失業手当)とは、雇用保険の制度であり、正確には「基本手当」といいます。

基本手当と障害年金は、併給調整の規定はないため、減額されずに両方とも受け取ることが可能です。

しかし、両制度は給付の目的が異なります。基本手当は働く意思や能力があるにも関わらず、職に就くことができない場合に支給されるものであり、障害年金は傷病により日常生活や労働に支障がある場合に支給されます。

もし体調不良により退職し、すぐに働ける状態でない場合は、基本手当の受給期間を延長することが可能です。受給期間を延長している間に、障害年金を受け取りながら病気の治療に専念することもできますので、検討してみましょう。

Q 生活保護を受けていると、障害年金はもらえませんか?

障害年金は、生活保護を受けていても受給することができます。ただし、両方を満額で受け取ることはできません。障害年金を受給している場合は、生活保護費から障害年金の額が差し引かれます。

Q 障害者手帳を持っていないと、障害年金はもらえませんか?

障害年金は、障害者手帳を持っていなくても受給できます。障害年金と障害者手帳は、全く別の制度であり、審査の基準も異なります。

Q 一人暮らしをしていると、障害年金はもらえませんか?

障害年金は、一人暮らしをしていても受給できます。

ただし、精神の障害の場合は、審査において同居者の有無が確認されます。これは、日常生活状況が重視されているからです。「一人暮らし=日常生活に大きな支障がない」とみなされてしまうことがあるため、注意が必要です。

別居の家族から援助を受けていたり、訪問介護などの福祉サービスを利用していたりする場合は、それらを申請書類に記載しましょう。

Q 医師から「あなたは障害年金をもらえない」と言われた場合は、諦めるしかないのでしょうか?

必ずしも医師の言葉が正しいとは限りません。医師は医療の専門家ですが、障害年金に精通しているとは限らないからです。医師が障害年金の制度について誤解していたり、あなたの症状を正確に把握していなかったりする場合も考えられます。まずは、医師に理由を確認してみましょう。

障害年金の審査において、医師が作成する診断書は最も重視される書類です。医師の協力は不可欠ですので、信頼関係を築いたうえで進めていきましょう。

お困りの際は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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