
社会保険労務士
梅川 貴弘
うつ病などの精神疾患を抱えて、働きたくても働けずに困っている人たちに向けて障害年金の請求代行サポートを開始。
現在は、社会保険労務士6名、日本年金機構勤務経験者4名の専門チームで、全国のうつ病等で悩む方々の障害年金請求手続きを支援している。
[うつ病などの障害年金請求代行]
障害年金を受給していることが会社に知られるのではと不安に感じていませんか?
原則として、障害年金のことを自分から言わない限り、職場や他人に伝わることはありません。ただし、例外的に知られてしまうケースもあります。
この記事では、障害年金が会社や家族に知られる具体的な場面や、注意すべき点、そして就労と受給の関係についても詳しく解説します。安心して障害年金を申請(請求)・受給するためのポイントを確認しましょう。
目次
障害年金を受給していることが会社に知られるのではないかと不安に感じる方は少なくありません。
しかし、実際には障害年金の受給情報は厳密に個人情報として取り扱われており、本人が申告しない限り勤務先に知られることは基本的にありません。さらに、障害年金は非課税のため、給与計算や年末調整といった社内の手続きにも一切関与しない仕組みとなっています。
このため、会社の経理部門や税務手続きの中で障害年金の受給が判明することは考えにくく、普段の業務や生活を送るうえで受給事実が他人に伝わる心配はほとんどないと言えるでしょう。
マイナンバーによって行政間の情報連携は進んでいますが、会社が従業員の障害年金受給状況を把握することは制度上できません。
マイナンバーの利用範囲は法律で厳しく制限されており、勤務先がその情報にアクセスすることは許可されていません。そのため、マイナンバーを通じて障害年金の情報が会社に漏れる心配はありません。
社会保険の保険料は基本的に給与に基づいて決定され、障害年金の受給有無とは無関係です。
したがって、社会保険の加入手続きや保険料計算の中で、障害年金の情報を会社に申告する必要はありませんし、その情報が伝わることもありません。
年末調整では給与所得や控除対象などの情報が扱われますが、障害年金は非課税所得のため、そもそも申告の対象になりません。
そのため、年末調整や確定申告を通じて障害年金の受給が勤務先に知られることは基本的にありません。
会社は労働安全衛生法に基づき、従業員に定期的な健康診断を実施していますが、その診断結果に障害年金の受給に関する情報が含まれることはありません。
たとえ、医師の所見に特定の病名や所見が記載されていたとしても、それが直ちに障害年金の受給と結びつくわけではなく、会社側がその事実を把握する可能性は極めて低いと言えるでしょう。
障害年金の申請において、精神の障害では診断書に就労状況について記載する欄がありますし、内部障害でも就労ができる状態か否かは、障害の状態の審査の要素となります。
しかし、これらは障害状態の審査を行うための要素であり、勤務先に障害があることを報告するものではありません。
障害年金を受給している方が「傷病手当金」を申請する際には、勤務先に障害年金の受給事実が伝わる可能性があります。
傷病手当金は、健康保険に加入している会社員が病気やケガで働けなくなったときに支給される制度ですが、その申請書類には障害年金の受給状況を記載する欄があります。これは、傷病手当金と障害年金は併給調整されるからです。
多くの場合、この申請は会社を経由して行われ、担当者が書類を確認する過程で障害年金の受給事実を知ることになります。そのため、障害年金の情報を職場に知られたくない場合は、傷病手当金の申請を控えるという選択肢も考えられます。
公務員の方などで共済組合に加入している場合は、障害年金の申請を共済組合を通じて行うことになります。
この手続きの過程で、職場に確認や問い合わせが行われるケースもあり、その際に一部の担当職員が障害年金の申請事実を把握する可能性があります。
障害年金の受給によって扶養関係に影響が出るケースでは、家族の勤務先に受給状況が知られることがあります。特に以下の2つの場面で注意が必要です。
受給者の年収が障害年金を含めて180万円以上になると、家族の健康保険の扶養から外れることになります。この手続きの際、収入確認の一環として年金通知書などの書類を家族の勤務先に提出する必要がある場合があり、その結果、障害年金を受給していることが伝わる可能性があります。
障害年金だけで年収180万円以上になることはあまりありませんが、パートなどで働いている場合、合計年収が180万円以上になることがあるため、あらかじめ確認しておくことが重要です。
退職後に家族の扶養に入る場合や、結婚して配偶者の扶養に入る場合にも、同様の注意が必要です。
扶養に入る条件として年収180万円未満が求められ、その確認のために障害年金の受給額を証明する書類の提出を求められることがあります。この際に、家族の勤務先が障害年金の受給を知る可能性があります。
障害年金を受給している方の中には、就職や転職の際にその事実を企業へ伝えるべきか迷う人もいるかもしれません。ですが、障害年金は個人の社会保障に関する情報であり、基本的に障害年金の受給について企業に報告する義務はありません。
また、転職後に健康保険の切り替えや年金に関する手続きを行う際も、障害年金の受給情報が会社側に伝わることは基本的にありません。
ただし、障害の特性や体調の関係で職場に何らかの配慮や支援が必要な場合は、事前に障害の状況を共有しておくことが望ましいケースもあります。特に、障害者雇用枠での採用を希望する場合は、障害者手帳の提示や支援機関と連携した就職活動が前提となるため、障害の内容を適切に伝えることが働きやすさにつながります。
なお、職場での業務において特別な配慮が必要な場合であっても、その情報をどの程度伝えるかは本人の判断によるものであり、企業側から開示を強制されるものではありません。
社会保険労務士
梅川 貴弘
会社だけでなく、家族にも障害年金の受給を知られたくないという方もいます。
その場合に注意すべきなのが、日本年金機構や年金事務所から自宅に届く郵便物です。年金証書や支給決定通知書、更新に関する書類などが封書で届くことがあるため、家族と同居している方は特に注意が必要です。
これらの封筒には「日本年金機構」などの差出人名が記載されており、中身を見なくても年金関連の書類だと推測される可能性があります。受給や申請の事実を知られたくない場合には、送付先の変更などについて事前に年金事務所に相談しておきましょう。
では、そもそも障害年金は働いている状態でも受給できるのでしょうか?次に、 就労と受給の関係について、詳しく解説していきます。
「働いていると障害年金はもらえないのでは?」と不安に思う方は少なくありませんが、実際には就労していても障害年金を受給することは可能です。障害年金支給の可否は、単に働いているかどうかで判断されるのではなく、障害が生活や就労にもたらす支障や制限の度合いによって判断されます。
短時間勤務や障害者雇用枠で働いている方、あるいは職場の配慮を受けながら就労している方など、実際に多くの人が働きながら障害年金を受給しています。
ただし、精神障害や内部障害の場合は、就労状況が障害の等級や支給可否に、特に影響することがあります。特に、一般雇用でフルタイム勤務を継続している場合、「日常生活に大きな支障がない」と判断され、不支給となるケースもあります。そのため、申請時には就労状況や職場での支援内容を正確に伝えることが重要です。
うつ病や発達障害などの精神障害では、障害の程度を客観的に数値で表すことが難しいため、診断書に記載される就労状況や生活への支障が審査において重要な判断材料となります。
申請時や更新時には、主治医に自分の就労状況をきちんと伝え、診断書に実態が正確に反映されるようにしましょう。
診断書作成時に医師へ伝えておきたいポイントには、以下のような内容があります。
これらを丁寧に伝えることで、障害の実態に即した審査が行われやすくなり、適切な等級での受給につながります。
診察時は緊張して医師とうまく話せない方も多いと思います。事前に伝えたいことをメモにしておく、家族に同席してもらうなどして、伝えられる工夫をしましょう。
社会保険労務士
梅川 貴弘
障害年金を受給していることが会社にバレるのではないかという不安を抱く方は多いですが、原則として勤務先に知られることはありません。障害年金は非課税であり、年末調整や社会保険の手続き、マイナンバー制度を通じて勤務先に情報が伝わることはありません。
ただし、「傷病手当金」の申請などで例外的に知られるケースもあるので注意しましょう。また、障害年金の受給については会社に報告する義務はありません。職場での特別な配慮が必要な場合には、自分の判断で伝えましょう。
障害年金は働きながらでも受給できる制度であり、日常生活や就労の状況に応じた支援を受けることが可能です。勤務先に知られるリスクは非常に低いため、安心して申請を前向きに考えていきましょう。
ありません。障害年金の受給状況は申告義務がなく、就職や転職時の履歴書に記載する義務は一切ありません。ただし症状により、職場での特別な配慮が必要な場合は、自分の判断で障害の内容を伝えることが望ましい場合があります。
障害年金の審査において、職場に直接調査が入ることは基本的にありません。ただし、診断書に就労状況の記載が必要なため、医師に実態を正確に伝えることが重要です。
できます。障害年金を受給していることと、厚生年金や健康保険の加入資格は関係ありません。
障害年金を含めた年間収入が180万円以上になる場合、健康保険上の扶養から外れることになります。この際、扶養者の勤務先に収入証明を提出するため、障害年金の受給が知られる可能性があります。
在職中であっても、障害の程度が認定基準に該当すれば受給が認められます。ただし精神障害の場合、一般雇用でフルタイム勤務をされていると、不支給となる可能性があります。理由としては「働けている=障害が軽い」と判断されるためです。
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