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[うつ病などの障害年金請求代行]

精神の診断書を医師に依頼する方法|障害年金を受け取るための重要ポイント

  • 投稿:2025年02月12日
  • 更新:2025年02月19日
精神の診断書を医師に依頼する方法|障害年金を受け取るための重要ポイント

障害年金の申請(請求)を行う際には、いくつかの必要書類を提出しなければなりません。

なかでも、医師が作成する診断書は受給を左右する重要な書類です。
しかし、「医師にどうお願いすればよいのか」「何を伝えればよいのかが分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、精神的な疾患を持つ方が医師に障害年金の診断書を依頼する際のポイントについて詳しく説明します。また、もし医師から診断書の作成を断られた場合の対応方法についても触れていますので、ぜひ参考になさってください。

障害年金の最重要ポイントは診断書

障害年金の最重要ポイントは診断書

障害年金の申請手続きをする際、最も重要なのは医師の診断書です。

診断書の内容によって、障害年金受給の8~9割が決まると言っても過言ではありません。ところが、医師は医療の専門家ではありますが、必ずしも障害年金の専門家ではありません。

そのため、ただ単に診断書の作成をお願いしてしまうと、実際よりも軽い症状で診断書が作成されてしまうなどし、障害年金の受給が難しくなることがあります。

特に、うつ病、発達障害などの精神障害は、障害の程度を検査数値で表すことが難しいことが多いため、日常生活や就労にどれくらいの制限があるかが、等級を決定する際の重要な要素になります。

医師に診断書の依頼をする際には「押さえるべきポイントをしっかり医師に伝える」必要があります。

診断書(精神の障害)の注目ポイント

診断書(精神の障害)の注目ポイント

障害年金の診断書は記載されているすべての項目が重要ですが、特に注目すべきは、診断書の裏面にある「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の欄です。

診断書の重要項目

「日常生活能力の判定」・・・赤枠
「日常生活能力の程度」・・・青枠

日常生活能力の判定

日常生活能力の判定欄では、日常生活の7つの場面における制限度合いを、医師が判定し記載します。この評価は、「単身で生活した場合、可能かどうか」で判断します。

(1)適切な食事・・・配膳などの準備も含めて適当な量をバランスよく摂ることができるかどうか。嗜癖的な食行動(たとえば拒食症や過食症)をもって「食べられない」とはしない。

できる
栄養のバランスを考え適当量の食事を適時にとることができる。(外食、自炊、家族・施設からの提供を問わない)
自発的にできるが時には助言指導を必要とする
だいたいは自主的に適当量の食事を栄養のバランスを考えて適時にとることができるが、時に食事内容が貧しかったり不規則になったりするため、家族や施設からの提供、助言や指導を必要とする場合がある。
自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
1人では、いつも同じものばかりを食べたり、食事内容が極端に貧しかったり、いつも過食になったり、不規則になったりするため、経常的な助言や指導を必要とする。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない
常に食事へ目を配っておかないと不食、偏食、過食などにより健康を害するほどに適切でない食行動になるため、常時の援助が必要である。

(2)身辺の清潔保持・・・洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができるかどうか。また、自室の清掃や片付けができるかどうか。

できる
洗面、整髪、ひげ剃り、入浴、着替え等の身体の清潔を保つことが自主的に問題なく行える。必要に応じて(週に1回くらいは)、自主的に掃除や片付けができる。また、TPO(時間、場所、状況)に合った服装ができる。
自発的にできるが時には助言指導を必要とする
身体の清潔を保つことが、ある程度自主的に行える。回数は少ないが、だいたいは自室の清掃や片付けが自主的に行える。身体の清潔を保つためには、週1回程度の助言や指導を必要とする。
自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
身体の清潔を保つためには、経常的な助言や指導を必要とする。自室の清掃や片付けを自主的にはせず、いつも部屋が乱雑になるため、経常的な助言や指導を必要とする。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない
常時支援をしても身体の清潔を保つことができなかったり、自室の清掃や片付けをしないか、できない。

(3)金銭管理と買い物・・・金銭を独力で適切に管理しやりくりがほぼできるかどうか。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物ができるかどうか。行為嗜癖に属する浪費や脅迫的消費行動については、評価しない。

できる
金銭を独力で適切に管理し、1ヵ月程度のやりくりが自分でできる。また、1人で自主的に計画的な買い物ができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
1週間程度のやりくりはだいたい自分でできるが、時に収入を超える出費をしてしまうため、時として助言や指導を必要とする。
助言や指導があればできる
1人では金銭の管理が難しいため、3~4日に一度手渡して買い物に付き合うなど、経常的な援助を必要とする。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない
持っているお金をすぐに使ってしまうなど、金銭の管理が自分ではできない、あるいは行おうとしない。

(4)通院と服薬・・・規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるかどうか。

できる
通院や服薬の必要性を理解し、自発的かつ規則的に通院・服薬ができる。また、病状や副作用について、主治医に伝えることができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
自発的な通院・服薬はできるものの、時に病院に行かなかったり、薬の飲み忘れがある(週に2回以上)ので、助言や指導を必要とする。
助言や指導があればできる
飲み忘れや、飲み方の間違い、拒薬、大量服薬をすることがしばしばあるため、経常的な援助を必要とする。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない
常時の援助をしても通院・服薬をしないか、できない。

(5)他人との意思伝達及び対人関係・・・他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるかどうか。1対1や集団の場面で、他人の話を聞いたり、自分の意思を相手に伝えたりするコミュニケーション能力や他人と適切につきあう能力に着目する。

できる
近所、仕事場等で、挨拶など最低限の人づきあいが自主的に問題なくできる。必要に応じて、誰に対しても自分から話せる。友人を自分からつくり、継続して付き合うことができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
最低限の人づきあいはできるものの、コミュニケーションが挨拶や事務的なことにとどまりがちで、友人を自分からつくり、継続して付き合うには、時として助言や指導を必要とする。あるいは、他者の行動に合わせられず、助言がなければ、周囲に配慮を欠いた行動をとることがある。
助言や指導があればできる
他者とのコミュニケーションがほとんどできず、近所や集団から孤立しがちである。友人を自分からつくり、継続して付き合うことができず、あるいは周囲への配慮を欠いた行動がたびたびあるため、助言や指導を必要とする。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない
助言や指導をしても他者とコミュニケーションができないか、あるいはしようとしない。また、隣近所・集団との付き合い・他者との協調性がみられず、友人等とのつきあいがほとんどなく、孤立している。

(6)身辺の安全保持及び危機対応・・・事故等の危険から身を守る能力があるかどうか。通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるかどうか。自傷(リストカット等)や他害が見られる場合は、本項目の評価対象に含めない。

できる
道具や乗り物などの危険性を理解・認識しており、事故等がないよう適切な使い方・利用ができる(例えば、刃物を自分や他人に危険がないように使用する、走っている車の前に飛び出さない、など)。また、通常と異なる事態となった時(例えば火事や地震など)に他人に援助を求めたり指導に従って行動するなど、適正に対応することができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
道具や乗り物などの危険性を理解・認識しているが、時々適切な使い方・利用ができないことがある(例えば、ガスコンロの火を消し忘れる、使用した刃物を片付けるなどの配慮や行動を忘れる)。また、通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり指示に従って行動できない時がある。
助言や指導があればできる
道具や乗り物などの危険性を十分に理解・認識できておらず、それらの使用・利用において、危険に注意を払うことができなかったり、頻回に忘れてしまう。また、通常と異なる事態となった時に、パニックになり、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適正に対応することができないことが多い。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない
道具や乗り物などの危険性を理解・認識しておらず、周囲の助言や指導があっても、適切な使い方・利用ができない、あるいはしようとしない。また、通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適正に対応することができない。

(7)社会性・・・銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能かどうか。また社会生活に必要な手続きを行えるかどうか。

できる
社会生活に必要な手続き(例えば行政機関の各種届出や銀行での金銭の出し入れ等)や公共施設・交通機関の利用にあたって、基本的なルール(常識化された約束事や手順)を理解し、周囲の状況に合わせて適切に行動できる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用について、習慣化されたものであれば、各々の目的や基本的なルール、周囲の状況に合わせた行動がおおむねできる。だが、急にルールが変わったりすると、適正に対応することができないことがある。
助言や指導があればできる
社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、各々の目的や基本的なルールの理解が不十分であり、経常的な助言や指導がなければ、ルールを守り、周囲の状況に合わせた行動ができない。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない
社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、その目的や基本的なルールを理解できない、あるいはしようとしない。そのため、助言・指導などの支援をしても、適切な行動ができない、あるいはしようとしない。

日常生活能力の程度

日常生活全般における制限度合いを包括的に評価し、医師が記載します。

(1)精神障害を認めるが、社会生活は普通にできる。

  • 適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用などが自発的にできる。あるいは適切にできる。
  • 精神障害を持たない人と同じように日常生活及び社会生活を送ることができる。

(2)精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。

  • (1)のことが概ね自発的にできるが、時に支援を必要とする場合がある。
  • 一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難となる。
  • 日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。
  • 身辺の清潔保持は困難が少ない。
  • ひきこもりは顕著ではない。
  • 自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切に出来ないことがある。
  • 行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。
  • 普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。
  • 金銭管理は概ねできる。
  • 社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。

(3)精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。

  • (1)のことを行うためには、支援を必要とする場合が多い。
  • 医療機関等に行くなどの習慣化された外出は付き添われなくても自らできるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。
  • 食事をバランスよく用意するなどの家事をこなすために、助言などの支援を必要とする。
  • 身辺の清潔保持が自発的かつ適切にはできない。
  • 対人交流が乏しいか、ひきこもっている。
  • 自発的な行動に困難がある。
  • 日常生活の中での発言が適切にできないことがある。
  • 行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。
  • ストレスが大きいと症状の再燃や悪化を来たしやすい。
  • 金銭管理ができない場合がある。
  • 社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。

(4)精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。

  • (1)のことは経常的な援助がなければできない。
  • 親しい人間がいないか、あるいはいても家族以外は医療・福祉関係者にとどまる。
  • 自発性が著しく乏しい。
  • 自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。
  • 日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。
  • 些細な出来事で病状の再燃や悪化を来たしやすい。
  • 金銭管理は困難である。
  • 日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。

(5)精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

  • (1)のことは援助があってもほとんどできない。
  • 入院・入所施設内においては、病棟内・施設内で常時個別の援助を必要とする。
  • 在宅の場合においては、医療機関等への外出も自発的にできず、付き添いが必要であったり、往診等の対応が必要となる。
  • 家庭生活においても、適切な食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時の援助を必要とする。

等級判定ガイドラインとは

現在、障害年金における精神障害や知的障害の障害等級の判定は、「障害認定基準」「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(※)をあわせて行われています。(てんかんは「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」から除かれています。)

※この記事では、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を「ガイドライン」と表記します。

このガイドラインでは、「障害等級の目安」が示されています。

では、「障害等級の目安」の具体的な内容をご説明します。

障害等級の目安

以下の表は、診断書の記載項目のうち「日常生活能力の判定」の評価の平均と「日常生活能力の程度」の評価を組み合わせ、どの障害等級に相当するかの目安を示しています。

※「日常生活能力の判定」とは、前章でご説明した診断書の赤枠、「日常生活能力の程度」は青枠の欄のことです。

  • 判定平均・・・「日常生活能力の判定」(1)~(7)の評価を点数化したものの平均値
  • 程度・・・「日常生活能力の程度」

判定平均は、「日常生活能力の判定」の7つの項目における4段階評価を、程度の軽い方(左)から重い方(右)に向かって1~4の点数に置き換えます。障害の程度が重いほど点数が高いことになります。

▶できる →1点

▶自発的に(おおむね)できるが時には助言や指導を必要とする →2点

▶(自発的かつ適正に行うことはできないが)助言や指導があればできる →3点

▶助言や指導をしてもできない若しくは行わない →4点

7項目の平均点(7項目の点数の合計 ÷7)を計算したものが「判定平均」です。

判定平均と程度を上の表に当てはめて、障害等級の目安が示されます。

例えば、日常生活能力の判定の平均値が3.0、日常生活能力の判定が(3)の場合は、2級相当となります。

ポイント

なお、3級は障害厚生年金のみとなり、障害基礎年金に3級はありません。障害基礎年金を申請する場合は、表内の「3級」は「2級非該当=不支給」と置き換えましょう。

「障害等級の目安」は、あくまでも目安

障害等級は、「障害等級の目安」に基づいてそのまま認定されるわけではありません。

ガイドラインには、障害等級の目安に関する留意事項として、以下のように記載されています。

この目安は、総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載されている他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること。

つまり、「障害等級の目安」は、障害等級判定における重要な要素のひとつですが、あくまでも目安であり、申請書類(診断書や病歴・就労状況等申立書など)のさまざまな記載内容を総合的に考慮して判定されます。

また、「総合評価の際に考慮すべき要素の例」として、5つの分野(①現在の病状又は状態像、②療養状況、③生活環境、④就労状況、⑤その他)において、考慮すべき要素と具体的な内容例が示されています。

考慮すべき要素の例については、内容が広範囲にわたるため、この記事では省略させていただきます。

詳細については、こちらをご覧ください。

医師に診断書を依頼するポイント

医師に診断書を依頼するポイント

これまでご説明した通り、障害年金の申請には、診断書が非常に重要な役割を果たします。しかし、医師に依頼する際に迷ったり、不安に感じる方も少なくありません。

続いて、診断書をスムーズに依頼するための具体的なアドバイスを紹介します。

ポイント①:事前に準備する

診断書を依頼する前に、まず自分の症状や生活状況について整理しておきましょう。特に、日常生活にどのような支障があるのかを具体的にまとめておくことが必要です。

限られた診察時間内で自分の状況を主治医に十分に伝えるのは困難です。診断書を依頼する際は、日常生活の具体的な状況を事前にメモなどでまとめ、医師に渡せるよう準備しておくことをおすすめします。

ポイント②:診断書の項目に沿って伝える

診断書の裏面にある「日常生活能力の判定」の7つの場面に沿って、「できないこと」や「苦手なこと」を伝えましょう。

以下に、具体的な例を挙げますので参考にしてみてください。

(1)適切な食事

  • 食事の用意、片付けはすべて母親に任せている。
  • 一人のときは、冷凍食品やカップ麺ばかりになる。
  • 過食傾向で、体重が増加している。

(2)身辺の清潔保持

  • お風呂に入るのが億劫で、間隔が空いてしまう。
  • 外出するときも、身だしなみに意識が向かない。
  • 掃除や片付けが苦手で、部屋にはゴミが散乱している。

(3)金銭管理と買い物

  • 衝動買いがやめられない。
  • スーパーに行っても何を買ってよいかわからない。
  • お金のやりくりができないので、金銭管理は夫に任せている。

(4)通院と服薬

  • 通院は、父親に付き添ってもらっている。
  • 言葉が出てこず、医師に症状をうまく伝えられない。
  • 薬を過剰摂取してしまうことがある。

(5)他人との意思伝達及び対人関係

  • 人と話すことに強い不安、恐怖を感じる。
  • 集中できず、相手の話を理解できない。
  • 暗黙のルールや空気を読むことが苦手。

(6)身辺の安全保持及び危機対応

  • 地震などが起きるとパニックになり、動けない。
  • ぼんやりして赤信号で横断歩道を渡ってしまうことがある。
  • コンロの火を点けたことを忘れ、鍋を焦がしたことがある。

(7)社会性

  • 手続きは期限ぎりぎりまで手を付けられない。
  • 一人では内容を理解できず、家族に手伝ってもらっている。
  • 体調が悪化するため、電車やバスは利用を避けている。

ポイント③:一人暮らしを想定する

診断書の「日常生活能力の判定」については「一人でできるか」という視点から、判断します。ご家族と一緒に生活していると、第三者から見るとできていないことでも、サポートが当たり前になってしまい、本人が一人ではできないことを自覚しづらくなることがあります。

例えば、

  • 食事のときには、家族から「栄養バランスも考えなさい」と言われる
  • お風呂の前には、妻から声がけしてもらっている

このような場合は、家族からの援助を受けていることになります。結果的に食事や入浴ができたとしても「一人でできる」とはいえません。

一人暮らしを想定し、現状を客観的に整理して伝えましょう。

ポイント④:家族からも状況を伝える

自分では症状を正確に把握できていなかったり、医師に症状が正しく伝わっていなかったりすることで、診断書が実際より軽い内容で作成されてしまうことがあります。

精神障害を抱えている方は、日常生活での困難を医師にうまく伝えるのが難しいことがよくあります。

医師に症状を尋ねられても、「大丈夫です」や「特に変わりはありません」と答えてしまうことが多いのではないでしょうか。そのため、本人が一人で受診している場合、実際の生活の状況が医師に十分に伝わらず、診断書に記載される内容が現実よりも軽くなってしまうことがあります。

そのようなときには、ご家族が診察に同席し、家族の立場から状況を伝えることが効果的です。一緒に暮らしている家族からの情報によって、医師が初めて知ることも多いでしょう。

ただし、家族は日常的に声かけや援助を行っているため、その支援内容に意識が向かないこともあります。そのため、どんな場面で声かけや支援を行っているかを客観的に整理し、医師に伝えることが大切です。

また、社会保険労務士に相談することも選択肢のひとつです。
社労士は、日常生活の状況をヒアリングし、診断書依頼時の参考資料を準備するなど、実際の状況が正確に診断書に反映されるようサポートします。また、診断書を依頼する際の適切な伝え方や、記載内容に不備があった場合の対処法についてもアドバイスをしてくれます。

社会保険労務士梅川 貴弘

社会保険労務士
梅川 貴弘

ポイント⑤:就労状況を伝える

うつ病や発達障害などの精神障害の場合は、就労状況が審査に大きく影響することがあります。しかし、働いているからといって必ずしも不支給となるわけではありません。

仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、周囲とのコミュニケーションの状況なども十分に考慮して判断されます。医師には、就労の状況を詳しく伝え、診断書に反映してもらうことが大切です。

また、障害者雇用や就労支援施設での就労は審査で考慮されますので、必ず診断書に記載してもらいましょう。

ポイント⑥:出来上がった診断書をチェックする

診断書に不備があると審査が遅れたり、適切な等級に認定されなかったり、場合によっては不支給になってしまうこともあります。診断書を受け取ったときは、必ず内容をチェックしましょう。

診断書に実際の状況と異なる内容であったり、記載漏れがある場合は、医師に相談して追記や修正を依頼しましょう。

診断書が封印されている場合、「開けてしまったら診断書が無効になるのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、そのようなことはありません。必ず開封して、中身を確認しましょう。

重要

また、障害年金は多くの場合「有期認定」となり、定められた期間ごとに更新の手続きが必要です。次回の更新時の参考資料になりますので、診断書は両面コピーを取り、忘れずに保管しておきましょう。

医師が診断書を書いてくれない場合

医師が診断書を書いてくれない場合

障害年金の申請には診断書は必須書類ですが、「医師に頼んだら断られた」という方も少なくありません。まずは、なぜ書いてくれないのか理由を確認してみましょう。

医師が診断書作成を断る理由には、いくつかのパターンがあります。それぞれの対策を検討してみましょう。

パターン①:患者の状態を十分把握していない

初診からの期間が短い、あるいは通院の頻度が少ない場合、医師に十分な情報がなく診断書が作成できないことがあります。特にうつ病や双極性障害などの精神疾患の場合は診断が難しく、時間を要することが多いようです。

このような場合は、無理に診断書を依頼しても症状が軽く記載されることがあります。しばらく通院を続け、医師が作成してくれるのを待つのがよいでしょう。

パターン②:障害年金の制度を誤解している

「入院していないともらえない」「発達障害ではもらえない」などという理由で断られた場合は、医師が障害年金について正確な知識を持っていない可能性があります。

障害年金の制度や障害認定基準について、医師に理解していただく必要があります。年金事務所や社労士に確認し、改めて医師に相談してみましょう。

パターン③:障害年金に否定的である

医師のなかは、障害年金を受給すると社会復帰ができなくなるなどと考え、快く思わない場合もあります。

障害年金を受け取ることで経済的な不安が軽減され、治療に専念できることを前向きに伝え、再度検討してもらうことが大切です。

④診断書作成に慣れていない

医師によっては、障害年金に関する診断書の作成経験が少なく、書き方がわからない場合があります。

日本年金機構のホームページでは、診断書作成のための「留意事項」や「記入上の注意」がダウンロードできます。医師に渡し、参考にしてもらいましょう。

また、具体的な症状や日常生活の困難について記載した書類を準備し、医師が書きやすくなるようサポートするのも効果的です。

障害年金の申請手続きを社労士に依頼した場合、必要な資料を作成してくれることもありますので、相談してみるとよいでしょう。

当事務所では、診断書の内容については医師の意見を尊重しつつ、必要に応じて参考資料を用意しています。また、医療機関からの問合せにも対応していますので、どうぞお気軽にご相談ください。

社会保険労務士梅川 貴弘

社会保険労務士
梅川 貴弘

パターン⑤:転院を検討する

どうしても現在の医師に診断書を作成してもらえない場合、転院を考えるのもひとつの方法です。ただし、転院先でもすぐに診断書を作成してもらえるわけではありません。数か月は通院を続ける必要があります。

医師との相性は治療にも影響を与えるため、転院については慎重に検討しましょう。

まとめ

まとめ

障害年金は、「診断書の内容次第で受給できるかどうかが決まる」と言っても過言ではありません。

しかし、医師はあくまで医療の専門家であり、障害年金の専門知識を持っているとは限りません。

医師に診断書を依頼する際には、頼み方のポイントを押さえ、現状をしっかり診断書に反映してもらうことが重要です。

診断書の中でも、「日常生活能力の判定」や「日常生活能力の程度」は、障害等級に大きく影響します。これらの項目は具体的な症状や日常生活の支障具合を示すものなので、医師としっかりコミュニケーションを取ることが大切です。

もし診断書を医師に依頼することに不安がある場合は、専門家である社労士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

医師に診断書を依頼する際のよくある質問

Q 診断書の費用はどれくらいかかりますか?

診断書の作成費用は医療機関によって異なりますが、一般的には10,000円程度が多いようです。

Q 診断書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか?

診断書の作成には、通常1か月程度かかることが多いです。ただし、医療機関が混雑している場合など、それ以上の期間を要することもありますので、事前に確認しておきましょう。

Q 何科の医師に診断書を頼めばいいですか?

診断書は、精神障害で通院している精神科などの主治医に依頼するのが一般的です。ただし、てんかん、知的障害、発達障害、認知症、高次脳機能障害など診療科が多岐に分かれている疾患について、小児科、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科、老年科などを専門とする医師が主治医となっている場合、これらの科の医師であっても、精神・神経障害の診断又は治療に従事している医師であれば記入可能です。

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