ご依頼の経緯
U様(50代・男性)は高校時代、友人関係のストレスから「鍵の施錠」「火の元の確認」などの確認行為が目立つようになりました。精神科を受診し、一時的な治療で症状は落ち着きました。社会人となってからは安定した生活を送っていたものの、30代での部署異動をきっかけに再び確認行為が強くなり、強迫神経症と診断。その後は抑うつ症状も出現し、休職と復職を繰り返し、退職。強迫性障害とうつ病を抱える中、障害者雇用枠での勤務にも挑戦されましたが、体調悪化により再び離職されました。
現在は無職となり、将来の生活に大きな不安を感じ、障害年金の申請(請求)を検討。しかし、長年の通院空白や病名の問題もあり、自力での申請が困難と感じ、当事務所へご相談くださいました。
担当社労士のコメント
U様のケースでは、まず「社会的治癒」の考え方が鍵となりました。障害年金では初診日の取り扱いが非常に重要ですが、U様は発症から10年以上通院歴がない期間がありました。そのため、いったん症状が治まり社会生活を送っていた期間を「社会的治癒」とみなし、その後再発した際の通院を新たな初診日とすることで、厚生年金の加入期間中に初診があると判断。障害厚生年金を申請することにしました。
次に注意すべき点は、U様の診断のひとつである「強迫性障害」が、原則として障害年金の対象外であることです。そこで、年金の対象となる「うつ病」の症状に焦点を当て、日常生活や就労への支障を丁寧にヒアリングしました。日常生活では、服薬・家事・人間関係すべてにおいて奥様の支援を受けていることを、病歴・就労状況等申立書および医師宛の報告書に詳細に記載しました。
また、服薬の副作用により薬の量が少なくなっているという事情も考慮し、単に「投薬量が少ない=症状が軽い」と誤解されないよう、症状の深刻さと薬への反応を具体的に伝えました。
申請の結果、社会的治癒の適用と、うつ病の症状の的確な訴えが評価され、障害厚生年金2級が認定、配偶者と子の加算がつき、年額約180万円の支給が決定しました。
お客様からのメッセージ
「障害年金を受けることができ、経済的に少し安心しました。自分では何から始めればよいか分からなかったので、質問した内容にも丁寧に答えていただき、本当に助かりました。」
※プライバシー保護のため、一部内容を変更・加工して掲載しています。