障害年金はいつまでもらえる?
障害年金は、障害の状態が続いている限り受給することができます。
障害年金は、一定の年齢になったら自動的に終了する制度ではありません。65歳を過ぎても、障害等級に該当する状態が続いていれば、引き続き受給できる可能性があります。
ただし、すべての人が一生もらえるわけではなく、有期認定の場合は定期的な更新があり、審査の結果によっては支給が停止されたり、等級が下がったりすることがあります。
永久認定の場合は、更新の必要がありませんので、亡くなるまで障害年金が支給されます。
永久認定と有期認定
障害年金には「永久認定」と「有期認定」があります。
永久認定・・・
症状が固定し、今後も変化がないと判断された場合に認定されます。(例えば、手足の切断や人工関節の挿入置換、失明などのケース。)更新は不要で、生涯にわたって障害年金を受け取ることができます。
有期認定・・・
定められた期間ごとに更新が必要な認定です。多くの場合がこの有期認定となり、障害の状態が変化すると、障害等級が見直されます。有期認定の期間は、障害の状態などに応じて個別に判断されます。
うつ病や発達障害は有期認定
うつ病、双極性障害、統合失調症といった精神疾患や、高次脳機能障害などは、症状の変動が大きく、治療の経過や生活環境によって状態が変化しやすい傾向があります。たとえ現在の状態が重度であっても、今後の治療によって改善する可能性があると見なされるため、「症状が固定している」とは判断されにくいのです。
また、発達障害(ADHD、ASDなど)や軽度の知的障害といった先天性の疾患においても、原則として有期認定となります。
発達障害や知的障害は、完全に治癒することはありませんが、薬物療法や環境の改善などによって症状が変動する可能性があります。そのため、症状が固定しているとは認められず、永久認定ではなく、有期認定が適用されることがほとんどです。
障害年金がもらえなくなるケース
障害年金は、受給者が亡くなったときや、更新手続きをしなかったとき、障害の状態が軽くなったときなどは、支給が止まることがあります。また、老齢年金や遺族年金など、ほかの年金を受け取れるようになった場合も、年金の選択が必要になることがあります。
ここでは、障害年金がもらえなくなる代表的なケースを確認しておきましょう。
亡くなったとき
障害年金を受給している人が亡くなった場合、障害年金は死亡した月の分までが支給対象になります。
ただし、年金は後払いで振り込まれるため、亡くなった時点でまだ受け取っていない年金が残っていることがあります。この場合、一定の遺族が「未支給年金」として申請することができます。
未支給年金とは?
年金を受けている方が亡くなったときに、亡くなった月分までのうちまだ受け取っていない年金については、その方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができる制度です。
未支給年金を受け取れる遺族とは、亡くなった方と生計を同じくしていた、(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 などです。
未支給年金を受け取るためには、「年金受給権者死亡届」などを年金事務所に提出します。
(日本年金機構にマイナンバーを収録している場合は、原則として「年金受給権者死亡届」の提出は省略できます)
その他の添付書類などは、以下の日本年金機構のホームページをご覧ください。
更新手続きをしなかったとき
有期認定で障害年金を受給している場合は、指定された時期に障害状態確認届を提出する必要があります。
障害状態確認届とは、現在の障害の状態を確認するための診断書です。提出期限までに出さないと、年金の支払いが一時的に差し止められることがあります。
ただし、その後提出して認められれば、差し止められていた分も含めて支給が再開されます。
提出が遅れ、その間の入金が止まると、生活に影響が出ることがあります。更新時期が近づいたら、早めに主治医へ診断書の作成を依頼しましょう。
更新時期になると、誕生月の3か月前の月末に、日本年金機構から「障害状態確認届」が送られてきます。医師に診断書を作成してもらい、誕生月の月末までに提出しましょう。
更新手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
障害状態が軽くなったとき
更新の結果、障害の状態が軽くなったと判断されると、支給停止になることがあります。
たとえば、日常生活で必要な援助が少なくなった、就労状況が安定した、検査数値が改善した、症状が軽くなったといった事情がある場合、等級が下がったり、支給停止になったりする可能性があります。
障害年金が減額・支給停止されるのは、誕生月の4か月目からです。たとえば、4月が誕生月の場合、8月分から支給が減額・停止されます。
ただ支給停止とは、障害年金を受ける権利そのものがなくなるわけではなく、障害等級に該当しない間、年金の支給が止まる状態です。
その後、再び障害の状態が悪化し、障害等級に該当するようになった場合は、「支給停止事由消滅届」を提出することで、支給が再開される可能性があります。
20歳前傷病で所得制限に該当したとき
基本、障害年金を受給する際に、所得制限はありません。
ただし、20歳前に初診日のある障害基礎年金(20歳前傷病による障害基礎年金)を受け取っている方は、一定の所得制限が設けられています。
具体的には、前年の所得額が4,794,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,761,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となります。
※扶養親族がいる場合は、所得制限額の加算があります。
毎年、受給者本人の前年所得が確認され、所得が基準額より減少した場合は、受給が再開されます。
▶その他の支給制限
労災保険の年金等を受給する場合は、障害年金の受給額が調整されます。また、海外に居住したときや刑務所等の矯正施設に入所した場合は、年金の全額が支給停止されます。
他の年金がもらえるようになったとき
障害年金を受給している人が、老齢年金や遺族年金など、ほかの年金を受け取れるようになった場合は、年金の選択が必要になります。
公的年金には、「1人1年金」という原則があります。支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金を受けられるようになったときは、原則、いずれか1つの年金を選択することになります。
たとえば、夫が亡くなり、妻が障害年金と遺族年金の両方を受け取れるようになった場合、どちらか一方を選択する必要があります。
複数の年金を受け取れるようになった場合は、年金事務所で年金額を試算してもらい、どちらの年金を選ぶのがよいのか相談しましょう。
手続きとしては、以下の「年金受給選択申出書」を年金事務所に提出します。提出した翌月から、選択しなかった方の年金の支給が停止されます。
ダウンロードはこちら
2つ以上の年金を受ける権利ができたとき|日本年金機構
ただし、65歳以降は、障害基礎年金と老齢厚生年金のように、組み合わせて受給できる場合もあります。
続いて、老齢年金と障害年金の関係について、確認していきましょう。
老齢年金と障害年金の関係
65歳になると、多くの人は老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取れるようになります。
このとき、障害年金と老齢年金を両方受け取れるわけではありません。「1人1年金」という原則により、いずれか1つの年金を選択することになります。
ただし、障害基礎(厚生)年金を受けている方が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったときは、65歳以後、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
(参考:年金の併給または選択|日本年金機構 )
ご注意ください
老齢基礎年金と障害基礎年金は同時に受け取れません。
障害年金と老齢年金の有利な方を選択する
65歳以降にどの年金を選ぶのがよいのかは、人によって異なります。
たとえば、保険料の未納期間や免除期間がある場合、その期間に応じて老齢基礎年金の金額は少なくなります。一方、障害基礎年金2級は、保険料を納めた期間にかかわらず、満額の老齢基礎年金と同額です。また、障害基礎年金には、対象となる子どもがいる場合に子の加算がつきます。
さらに、障害年金は非課税ですが、老齢年金は課税対象です。そのため、単純に年金額だけで比較するのではなく、税金や配偶者・子の加算なども含めて考えることが大切です。
65歳が近づいてきたら、年金事務所で見込額を確認し、どの受け取り方がよいのか相談しておきましょう。
障害年金を長く受給するために注意したいこと
障害年金を長く受給するためには、障害の状態が続いていることだけでなく、必要な手続きをきちんと行うことも大切です。
更新の診断書は期限内に提出する
有期認定の場合、指定された時期に障害状態確認届を提出する必要があります。
障害状態確認届は、現在の障害の状態を確認するための診断書です。提出期限を過ぎると、年金の支払いが一時的に差し止められることがあります。
診断書は、医師に依頼してすぐに完成するとは限りません。医療機関によっては作成に時間がかかることもあります。更新時期が近づいたら、早めに主治医へ相談し、余裕を持って準備しましょう。
症状や生活状況を主治医に正確に伝える
障害年金の更新では、診断書の内容がとても重要です。
診察の短い時間だけでは、日常生活で困っていることや、仕事で受けている配慮、家族の援助が必要な場面などが十分に伝わらないことがあります。
たとえば、家事や身の回りのことでサポートが必要なこと、外出の頻度、通院や服薬を一人で管理できるか、働いている場合は就労状況などを事前に整理しておくと、主治医に伝えやすくなります。
診察時に緊張して自分ではうまく伝えられない方は、あらかじめ伝えたいことをメモにまとめておく、または家族に同行してもらうなどして、伝えられる工夫をしてみましょう。
働き始めた場合も状況を整理しておく
障害年金を受給中に働き始めると、「働いたら障害年金が止まるのでは」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、働いていることだけで直ちに支給停止になるわけではありません。実際には、仕事内容、勤務時間、収入、職場での配慮、欠勤や早退の状況、日常生活への支障などを含めて判断されます。
そのため更新時には、職場でどのような配慮を受けているのか、体調によってどのような影響が出ているのかを主治医に伝え、診断書に記載してもらいましょう。
また、障害者雇用や就労支援施設での就労は審査で考慮されますので、必ず診断書に記載してもらうことが重要です。
障害年金は、次の更新までは必ず受け取ることができます。
症状が安定している期間が続く場合は、障害者雇用枠での就労や就労支援施設への通所を検討するのもよいでしょう。
支給停止や差し止めの通知が届いたら早めに対応する
状況によっては、支給停止や差し止めの通知が届くことがあります。
差し止めは、主に必要書類が提出されていない場合などに、支払いが一時的に止まるものです。必要な書類を提出すれば、支給が再開される可能性があります。
一方、支給停止は、障害の状態が障害等級に該当しないと判断された場合に、年金の支給が止まるものです。その後、症状が悪化した場合は、支給停止事由消滅届を提出することで、再開できる可能性があります。
通知が届いたときは、内容をよく確認し、放置しないことが大切です。理由がわからない場合や納得できない場合は、年金事務所などへ早めに相談しましょう。
等級が下がる場合もある
障害年金の更新の結果、等級が下がって支給額が減少することもあります。例えば、1級から2級や、2級から3級に変更された場合です。
この場合は、「額改定請求」を行い、等級の見直しを求めることができます。
額改定請求を行う際には、医師に新たな診断書を作成してもらい提出する必要があります。
ただし、前回と同じ内容の診断書を提出しても等級変更は認められません。診断書には、症状が悪化したことを具体的に記載してもらうことが重要です。
ご注意ください
額改定請求は、原則として等級が変更されてから1年を経過しないと手続きができないので、注意しましょう。
まとめ
障害年金は、障害の状態が障害等級に該当している限り、一生受給することができます。
ただし、有期認定の場合は、指定された時期に障害状態確認届を提出し、更新審査を受ける必要があります。
また、65歳以降は、老齢年金との関係も確認する必要があります。どの受け取り方が有利かは、人によって異なります。65歳が近づいたら年金事務所で確認しておきましょう。
よくある質問
Q
障害年金はいつまでもらえますか?
障害年金は、障害の状態が障害等級に該当している限り、一生受け取ることができます。
ただし、有期認定の場合は数年おきに更新があり、審査の結果、障害の状態が軽くなったと判断されると、支給停止になることがあります。
Q
障害年金は何歳までもらえますか?
障害年金は、障害等級に該当していれば、亡くなるまで受給することができます。
65歳以降は、老齢年金と障害年金のどちらか金額の高い方を選択して受給することができます。どちらが有利かは、人によって異なるため、年金事務所での確認をおすすめします。
Q
障害年金の更新では何を確認されますか?
障害年金の更新では、障害状態確認届という診断書をもとに、現在も障害等級に該当しているかが確認されます。
更新の結果によっては、等級が下がったり、支給停止になったりする可能性があります。
Q
障害年金が支給停止になるのはどんなときですか?
障害年金は、更新の結果、障害の状態が軽くなり、障害等級に該当しないと判断された場合に支給停止になることがあります。
ただし、支給停止になっても、受給権そのものがすぐになくなるわけではなく、その後の状態によって再開できる可能性があります。
Q
障害年金と老齢年金は両方もらえますか?
障害年金と老齢年金は、原則としてどちらか有利な方を選択して受給することになります。
ただし、65歳以降は、障害基礎年金と老齢厚生年金のように、組み合わせて受給できる場合があります。どの受け取り方が有利かは、人それぞれ異なるため、65歳が近づいたら年金事務所で確認しておきましょう。
Q
障害年金は65歳以降も受給できますか?
障害年金は、65歳以降も受給できます。65歳になったからといって、自動的に障害年金が終了するわけではありません。
ただし、65歳以降は老齢年金との関係を確認する必要があります。障害年金を続けるのか、老齢年金を選ぶのか、または障害基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせるのかは、人によって異なります。
Q
障害年金が差し止めになるのはどんなときですか?
障害年金が差し止めになる代表的なケースは、障害状態確認届などの必要書類を期限までに提出しなかったときです。
差し止めは、障害年金を受ける権利が完全になくなるという意味ではありません。必要な書類を提出し、審査が行われれば、支給が再開される可能性があります。
Q
20歳前傷病の障害年金は所得制限がありますか?
20歳前に初診日のある障害基礎年金には、所得制限があります。
受給者本人の前年所得が一定額を超えると、障害基礎年金の一部または全部が支給停止になることがあります。ただし、翌年以降の所得が基準内に戻れば、支給が再開されます。
Q
障害年金を受給している人が亡くなったらどうなりますか?
障害年金を受給している人が亡くなった場合、障害年金は死亡した月の分までが支給対象になります。亡くなった時点でまだ受け取っていない年金がある場合は、一定の遺族が未支給年金として請求できます。
Q
障害年金は働き始めるともらえなくなりますか?
働き始めてすぐに支給が止まることはありません。障害年金は、次の更新までは必ず受け取ることができます。
更新時は、仕事の種類や内容、就労状況、職場で受けている援助の内容、周囲とのコミュニケーションの状況なども考慮して、障害の程度が判断されます。
当事務所の受給事例
うつ病を患い、障害年金2級を受給中のT様は、更新時期に引っ越しや転院が重なり、診断書が取得できませんでした。1年間停止していた障害年金が再開された事例をご紹介します。
E様は58歳のとき、当事務所のサポートで双極性障害による障害厚生年金2級を受給。その後も複数回の更新を経て、65歳で再び更新の時期が到来。当事務所の更新サポートを利用され、永久認定が認められました。
以前、当事務所のサポートにより、うつ病で障害基礎年金2級の受給が認定されたE様。更新時期を控え、主治医が変わったことで「うまく更新できるか不安」とご相談をいただきました。丁寧なヒアリングと医師への資料作成により、現状が正確に反映された診断書を取得。無事、支給継続が決定しました。